フィリピン帰りのヨコピーノ

フィリピンで8年暮らしましたが2020年3月に帰国して、そのまま日本にいます。フィリピンの話題や自分自身の暮らしを書いています。

フィリピンは米軍地位協定破棄を正式通告

おはようございます。


フィリピン外務省(the Department of Foreign


Affairs of the Philippines DFA)のロクシン長官


は11日、ドゥテルテ大統領の指示を受けて米国


との訪問米軍地位協定(the Visiting Forces


Agreement VFA)の破棄を正式に米側に


通告しました。


通告から180日を経て協定は正式に


破棄されることになります。


 ドゥテルテ大統領は麻薬戦争とも呼ばれ


てきた違法薬物撲滅政策に対する「フィリピン


の主権を侮辱」した米国の干渉を理由に


しています。


VFAが破棄された場合、毎年実施してきた


フィリピン・米国両軍の合同演習実施が


難しくなるなどフィリピンと米国の軍事協力


関係に大きな亀裂が入るのは必至です。


在フィリピン米大使館は同日「深刻な事態


になりうる」との懸念を声明で伝えました。


 ドゥテルテ大統領は10日の演説で


「トランプ米大統領からVFA存続の要請


があったが、断わった」と語っていました。


 破棄の理由については「米国はフィリピン


に対してあまりにも不遜だ。(フィリピン当局が


麻薬密売罪で起訴した)デリマ上院議員を


釈放して米国に引き渡せなどと言っている」


と述べていました。


さらにVFAは地政学的見地や領土保全の


面からも問題があるとも指摘していました。


 VFA破棄問題が浮上したのは「麻薬戦争」


の陣頭指揮を執った元国家警察長官の


デラロサ上院議員への米入国ビザの発給拒否


が先月、明るみに出たことがきっかけでした。


麻薬戦争を人権面から批判する米上院が


昨年12月、麻薬戦争に関与したフィリピン政府


高官の米入国禁止や資産凍結などを


トランプ大統領に求める決議を採択したことを


受けた米政府の措置とみられている。


 当初、VFA破棄発言は、これに反発した


大統領の一時的な感情に基づく発言とも


みられてきたが、その後、パネロ報道官は


「VFAでは米兵がフィリピンで犯罪を犯して


も、重大事件でない限りフィリピン側には


裁判権もない」「米兵に特権を与えている


だけだ」などVFA自体の問題性を指摘


しました。


大統領自身も側近に「VFAは嫌いだ。とに


かくいったん廃棄すべきだ」などと


語っていました。


 フィリピン憲法18条25項は、外国軍基地の


設置、外国軍部隊や施設のフィリピン国内の


駐留には、上院による協定批准が必要として


いるが、外国軍に関する協定を逆に破棄する


場合、上院の承認が必要かどうかは明記されて


いません。


 上院内ではVFA破棄に対して慎重論、反対論


があるが、ドゥテルテ与党が上院では圧倒多数


を占めており、大統領の判断を最終的には


追認する可能性が高いと見られています。


 ビンセント・ソト上院議長は、この問題は、


最高裁判所の判断を仰ぐべきかもしれないと、


見解を示しました。


VFA破棄については、EDCA (Enhanced


Defense Cooperation Agreement強化された


防衛協力協定)とMDT(Mutual Defense Treaty


相互防衛条約)が、大きな影響を受けるため、


慎重にならざるを得ないとしています。


 米国との情報共有も米国からの資金提供も


無くなります。


慎重な対応が必要と思われます。


演説中のドゥテルテ大統領です。


ビンセント・ソト上院議長です。


サンバレス州スービック沖を共に航行する


フィリピン海軍のコルベット艦(右)と


米海軍の輸送船(左) です。